●野性の中へ
- 2023.06.13
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人の暮らしと自然が混然一体となる日本の暮らし方がある。
さらに暮らしとは別の、野生との境界線に歩み寄り、そこで見え隠れする美しく怪しげな生態に魅了される時もしばしば。そこでは神々しいすべてが、自分の身体を包み溶かしていくのだ。
拙作の壁画が北海道は朱鞠内湖のレークハウスに掛けられている。
2023年5月、この湖の沢の流れ込みで、釣り人がクマに襲われ亡くなってしまった。
自然を愛する同じ釣り人として、深く哀悼の意を捧げます。
同時に漁協及び、朱鞠内湖ワールドセンターの皆さまの計り知れない悔みと悲しみを察します。
あらためて、野生の脅威を思い知らされた。
美しくもいつもその脅威にあるこの星に、魅了されてきた自分としては、理解と覚悟を持って行動する他ないことを再認識する。
この後イトウ釣りに、釣り仲間たちと北の原野へ向かった。
カヌーを漕いで3時間。春を謳歌するオオジシギ、カッコウ、ツツドリが迎えてくれる。
案の定、クマの足跡も。
昨年亡くした友人ガイド澤田耕治と、毎年同じ時期に20年通ったこの川。日常で混濁しきった細胞が、この大地とどんどん入れ替わっていく。この数年、季節が2週間ほど進んでしまった気もする。温暖化なのかどうか、気候変動は野生の生態は敏感である。去来する思いと、生きとし生ける奇跡の今と、地面に吸い込まれ眠ってきた。